私がClassic Musicを聴き始めた1960年代後半は指揮者というと「カラヤンかベームか」でした。
その二人の演奏スタイルの違いをよく示しているのが
Schubert Symphony No.8* in C major D944 "The Great"
(*以前は No.7 とか No.9とか番号がついていましたが最近はNo.8が主流のようです)
1963年録音 1968年録音
録音会場はいずれもベルリン・イエスキリスト教会で、録音技師はギュンター・ヘルマン。
古き良き時代のシューベルト観を表現しているKarl Böhmに対して、Karajanの演奏からは新しい時代の旗手たらんとする passion & energy が伝わってきます。
ベームの演奏は第二楽章 Andante con moto にその美学が結実していると感じます。Melodyの歌わせ方がじつに自然で、チェロの歌い方などはウィーンフィルかと思わせます。
一方のカラヤンの演奏では、con moto (動きを持って)とはこういうことかと納得させる強い意志を持った前進力が漲っています。
(ちなみにこの曲を音楽愛好家の友人宅のリビングに据えられた立派なステレオ装置でフルトベングラーの演奏を聴いたときの驚きは凄かったです。もう止まるのではないかというまでの大胆なテンポ変化!)
Karajan と Böhm それぞれの気に入った演奏は何かと 改めてLP Libraryを聴き返したところ、いずれもコンチェルトでした。
《Herbert von Karajan》
左 Brahms Piano Concerto No.2 : Pf ⇒Géza Anda
*3rd movement Solo Cello Eberhard Finke が素晴らしい!
右 Beethoven Piano Concerto No.1 : Pf ⇒Christoph Eschenbach
いずれの演奏もカラヤンが心優しい人物だったことを感じさせてくれます。
左 Brahms Piano Concerto No.2 : Pf ⇒ Wilhelm Backhaus
右 Mozart Piano Concerto No.18 & 23 : Pf ⇒Maurizio Pollini
ベームの演奏は音楽の流れにどことなくぎこちなさを感じることがあるのですが、これらの協奏曲の演奏ではそれを微塵も感じさせません。ブラームスの滋味、モーツァルトの溌剌さ、いずれも超一流です。
ここまで書いてきて、今一度 カラヤン/ベルリン・フィル の組み合わせで最高のPerformanceを聴かせてくれるのはと考えると Richard Strauss ではないかと思います。
明晰さ、力強さ、技巧 そしてやさしさのバランスが素晴らしい。管弦楽曲集の中の一押しは、弦楽アンサンブルによる メタモルフォーゼン です。
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