2007年10月18日木曜日

爽やかな超絶技巧  vn吉田恭子

ちょっと地味なブログなので、今回は華のあるものにチェレンジ!
というわけで、10/17に紀尾井ホールで開催されたヴァイオリニスト吉田恭子の第8回リサイタルの話題を。

じつは以前、社内誌の「PEOPLE」コーナーに吉田恭子さんに登場いただいた際に、私がチェロを弾くことを知っていた編集部員の紹介でインタビュアーをさせていただきました。そのとき、素晴らしいヴァイオリニストである前に、しっかりした考えを持ったとても爽やかな方との印象を持ちました。

ステージでの演奏だけでなく、2003年から全国の小中学生等をクラシックの世界へ道案内する 
ふれあいコンサート シリーズをこれまでに220公演行っていて、5万5千名が参加したそうです。

最近、話題に取り上げられる若い演奏家はキャラが立った人が多いようですが、彼女は超絶技巧を支えるだけのしたたかな精神力と強靱な握力の持ち主ではあるものの、清楚という言葉がピッタリ。
あるラジオ番組でのトークで愛器ストラディバリウスにガット弦を3週間ごとに張り替えて、300年前の音をイメージして弾いていると言ってましたが、紀尾井ホールで聴いた音色もとても艶やかで繊細でもありました。そして過度なbody actionもなくさらりと弾いている印象で、それだけに「音楽」そのものの素晴らしさが際だって印象に残りました。リヒャルト・シュトラウスでは上品なポルタメント奏法がある種新鮮に感じました。ヴィブラートで時々楽器が揺れているように見えたのですが、それだけ腕力が強いのかも?あれだけの超絶技巧曲をさらりと弾きこなすからには見かけによらずかなりの体力・精神力を秘めているのでしょう。

「ベルベットのようにザラザラとした手ざわり、心の奥がじんわりするような音色が理想」(本人)

10/17のプログラムは
♪ モーツァルト : ヴァイオリン・ソナタ第25番ト長調 K.301
♪ R.シュトラウス : ヴァイオリン・ソナタ変ホ長調 Op.18
♪ ヴィエニャフスキ : 華麗なるポロネーズ第1番ニ長調 Op.4
♪ ヴィエニャフスキ : 言葉のないロマンスと華麗なロンド Op.9
♪ フーバイ : カルメン幻想曲
(アンコール ヴィエニャフスキ : ロマンス)      

pianoの白石光隆氏の伴奏はソリストをたてて温かく寄り添いながら、時にはガツンと音楽にインパクトを与える技がなかなか絶妙でした。                            

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

素敵な演奏会ですね。
ヴィルテゥオーゾ的なプログラム、凄いね。
これだけの曲をサラリとは。

Unknown さんのコメント...

政さん、コメントどうも。
前プロの情感、後半のpassionを秘めた技巧と、さすが堂々のprofessionalを感じました。音楽を楽しむことはアマチュアにも出来ますがプロの目指す次元はまったく異なることを再認識しました。